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PCの音響環境を整える方法 [理解するための基礎知識]

新型コロナ発生以降、テレワークで仕事をする方が増えていますが、音楽を聴きながら働いている方も結構いるのではないでしょうか?ここではWindows、Mac環境にて音響環境(ステレオ2ch)を整える方法について自己流ですが書いていこうと思います。

音源を用意する

聴きたい曲を準備します。ここではCDの音楽データの取り込み、ネットストリーミング、ダウンロード販売について説明します。

CDからの音楽データの取り込み(リッピング)

CDをお持ちの場合、PCで音楽を流すのであればCDプレイヤーは必要ありません。CDの音をPCに取り込み、PCの再生ソフトを利用することで気軽に音楽を楽しむことができます。取り込みにはCDを読むことができるドライブと取り込みソフトが必要です。

CDを読み込めるドライブがPCにない場合、USB接続のドライブが手軽に使えておすすめです。

取り込み形式について

FLACやALAC(Apple Lossless)などの可逆圧縮形式がおすすめです。可逆圧縮形式は文字通り、圧縮するものの劣化を起こさない形式になります。この形式であれば圧縮前と同じ音質となります。
MP3やAAC等の不可逆圧縮形式は容量が小さくなるという利点がありますが、音質が低下するという点に注意が必要です。
また、CDに収められている楽曲の情報を取得するCDDBというものがあります。これはアルバム名や曲名、アーティスト名などの情報を自動的に取得する機能です。取得された情報は取り込み時にファイルへ反映され、音楽プレイヤーなどでそれらの情報が閲覧できるようになります。逆にこれらの情報がないと曲名やアーティスト名がわからない状態となります。大手メーカーの取り込みソフトであるとマイナーなCDでも情報が取得できることが多いですが、そうでないソフトにおいては情報が取得できないなかったり取得のために何らかの設定が必要な場合があります。

おすすめの取り込みソフト

PCに取り込んだ音源ファイルは様々な音楽プレイヤーで再生することができます。

ネットストリーミング

もはや音楽鑑賞の主流となっているネットストリーミングはおすすめです。最近は、ハイレゾ対応のストリーミングも増えています。サブスクリプションにはなりますが、1ヶ月1,000円前後で様々な音楽を聴くことができるのは大きな魅力です。ストリーミングではWindows、Macにそれぞれ専用のソフトがありますので、より気軽の音楽を楽しめると思います。

おすすめのネットストリーミング

ダウンロード販売

ダウンロード方式で音楽データを購入するという方法もあります。ストリーミングでは聴けない曲などはCDを購入するか、こちらの方法になります。データの圧縮方式が複数用意されている楽曲もあります。MP3やAAC等の不可逆圧縮形式は販売価格が安い分、音質が低下します。音質を気にされるのであればハイレゾやロスレス形式をおすすめします。CDやSACDなどのパッケージメディアを持ちたくない方にもおすすめです。

おすすめの販売サイト

購入した楽曲はファイルとして保存されます。これはCDから取り込んでファイル化した楽曲同様、音楽プレイヤーで再生ができます。

音質について

CDに劣る形式

MP3やAACなどの非可逆圧縮形式がこれに当たります。音質はよくありませんがファイル容量が小さくなる、という利点があります。最近ではノイズキャンセリング機能のあるイヤホンやヘッドフォンが普及しているため、周りに雑音があってもこの音質の劣化に気づくことがあります。

CD相当の形式

サンプリング周波数44.1kHz、量子化ビット数16bitの音質の形式です。音波をデジタル化する際に1秒間を44,100回に分割してサンプリングし、それぞれのタイミングで波の振幅を16bit(65,536段階)で記録します。

ファイル形式としては非圧縮形式のWAVやAIFF、FLACやALAC(Apple Lossless)などの可逆圧縮形式などでCDの音を保存することができます。CDという古いメディアに採用されているフォーマットですが、安価な機器だとCDの音を最大限に表現できないことが多くあります。それだけ収められている情報が多いということです。

ハイレゾ形式

サンプリング周波数や量子化ビット数がCDの規格を超える音質の形式です。一般社団法人日本オーディオ協会(JAS)では、サンプリング周波数が96kHz以上、量子化ビット数が24bit以上のものをハイレゾとしていますが、CDの規格を超えていればハイレゾと言われることが多いです。

CDと比較すると情報量が多く、ファイルサイズも大きくなります。ファイル形式としてはWAV、AIFF、FLAC、ALACとSACDに採用されているDSDになります。

ロスレスとは?

ロスレスとはその名の通り、音質が劣化しない形式のことを指します。可逆圧縮のFLAC、ALACや非圧縮のAIFFやWAVも含まれます。

音とファイル形式の関係

音というのは空気中の分子の動きによってできるもので、これには非常に膨大な情報量があります。録音を通してこれを情報量の小さなデジタルのファイルに収めます。つまり、ファイル形式は入れ物のようなものでこれが立派(ハイレゾ)であっても、中身(録音したもの)の品質が良くなければあまり意味がありません。

いい音源とは?

録音状態がいいもの、これに限ります。ハイレゾであっても録音状態がよくなければきれいな音を聴くことはできません。録音時のマイクの品質や楽器やヴォーカルとの位置関係、録音したスタジオやホールなどの環境からも影響を受けます。クラシック音楽などは様々な音楽団が同じ曲を演奏しているため、それらを比較することができます。安価なスピーカーではあまり差が感じられないかもしれませんが、よいスピーカーやヘッドフォンではそれらの違いをはっきり感じることができます。もし、あなたが良い音を求めているのであれば、録音状態のよい音源を選択することをおすすめします。

スピーカーを用意する

ここでは2つのパターンを解説したいと思いますが、まずはD/Aコンバーターと接続方式について解説します。

D/Aコンバーターについて

上記で説明した音楽ファイルやストリーミングで配信されるデータはすべてデジタルデータです。そして、スピーカーで音を出すために必要な信号はアナログ信号となります。そのため、デジタル信号をアナログ信号に変換する必要があります。この変換を行うのがD/Aコンバーターです。D/Aコンバーターには様々なものがあり、音質や音の傾向に影響を与えます。これ以降はD/AコンバーターをDACと略します。

Moba Pro

接続方式について

アナログ接続:PCからイヤホンジャックやRCA端子で音声を出力する場合、拡張デバイスを増設してなければ、PC内でD/A変換が行われるため、あまり良い音質にはなりません。アナログ接続自体は品質の良い短めのケーブルを使うと音質の劣化はほとんどなく、高品質なオーディオでもよく使われています。

以下はすべてデジタル接続になります。

USB接続:デジタル接続になるため、スピーカーのDACの性能が重要になります。PCと直結するアナログ接続と比較すると高音質です。一般的なPC用アクティブスピーカーではサンプリング周波数96kHzまたは192kHz、量子化ビット数は24bitまで対応し、ハイエンド製品においてはサンプリング周波数768kHz以上、量子化ビット数32bitに対応するものもあります。

Bluetooth接続:無線になるという利点がありますが、音質はコーデック(データの圧縮・展開をするアルゴリズム)に大きく左右されます。Bluetoothはデータの圧縮を伴うため、有線のデジタル接続と比較すると音質的には不利になりますが、高音質なコーデックも登場しています。また、電波干渉により音飛びや接続の切断が発生することがあります。

Wifi接続:Bluetoothと比較すると音質面、接続安定性に優れていますが、採用機器は価格が高くなる傾向があります。

光デジタル接続:S/PDIF(光ケーブル)による接続になります。光信号を使用するため、電気的なノイズの影響を受けません。音質的に優れ採用機器も多くありますが、古い規格で帯域幅に制限があります。そのため、サンプリング周波数96kHz、量子化ビット数24bitまでが安定して信号を伝達できる性能となっています。ただ、最近ではサンプリング周波数192kHzにも対応する光デジタルケーブルが販売されています。

HDMI接続:帯域幅が広く光デジタル接続よりも高音質な形式に対応できます。新たな規格が追加されるため、将来性もあります。HDMI2.1ではサンプリング周波数768kHz、量子化ビット数32bitまで対応しています。しかし、接続できる機器が限られます。

パターン1:PC用スピーカーを使用する

低予算で気軽に始められるのはPC用のスピーカーの購入になります。アンプを内蔵していないパッシブスピーカーと内蔵しているアクティブスピーカーがあります。PC用パッシブスピーカーはアンプによる音の増幅機能がないため安価ですが、音質がよくありません。そのため、アクティブスピーカーがおすすめです。最近では非常に高音質なアクティブスピーカーも販売されています。アクティブスピーカーにはDACを内蔵していてデジタル接続できるものとアナログ接続しかできないものがあります。

USB-DACを使用する

USB-DACとはUSBで接続できるDACです。DACが高性能であればよりよい音質が得られるほか、DACによって音の傾向も変わるため、好みのDACを選択しやすいという利点もあります。なお、USB-DACとアクティブスピーカーの接続はアナログ接続になります。

接続一覧

  • アナログケーブルで接続

  • USBケーブルで接続

  • USB-DACを使った接続

  • Bluetoothで接続

  • Wifi接続

おすすめのスピーカー

以下の商品はすべてUSB接続が可能です。

CREATIVE PEBBLE V3
実売価格:5,480円

FOSTEX PM0.3BD
実売価格:34,659円

KEF LSX II LT
実売価格:122,625円

パターン2:HiFiスピーカー+プリメインアンプを使用する

音を増幅するプリメインアンプとHiFiオーディオ用のスピーカー(アンプを内蔵しないパッシブスピーカー)を別々に用意する方法です。こちらはより多くの予算が必要となりますが、その分、高い音質が期待できます。光デジタル接続やHDMI接続などのデジタル接続がおすすめです。デジタル接続をすることで音質の劣化を抑え、プリメインアンプの高性能なDACを利用することで高品質な音楽を楽しむことができます。

PCとプリメインアンプを接続どうするか?

USB-DACを使用する場合

USB-DACを使用し、アナログ接続でプリメインアンプにつなぎます。これはプリメインアンプのDACを使用しない、またはDACを内蔵しないプリメインアンプを使用する場合になります。高性能なUSB-DACや音色が好きなDACとアンプを組み合わせたい場合はこの方式よいでしょう。

光デジタル接続の場合

光デジタル入力を搭載しているプリメインアンプは多くあります。
PCの音声をどうやって光デジタルで出力するか、が問題になります。

マザーボードの光デジタル出力を使う:マザーボードに光デジタル出力がついている場合があります。この場合、他の機器を用意することなくPCとプリメインアンプを光デジタルで繋ぐことができます。

変換デバイスを使う:音声を光デジタルに変換できるUSB機器が販売されています。それを使うことによってPCとプリメインアンプを光デジタルで繋ぐことができます。

光デジタル出力があるモニターを使う:最近ではHDMIなどでモニターに入力した音声信号を光デジタルとして出力することができるモニターが販売されています。こちらを使うことによってPCの音声をプリメインアンプに送ることができます。

音声分離機器を使う:PCのHDMI出力から音声を取り出すことができる機器が販売されています。音声は光デジタルやRCAなどのアナログ信号に変換されて出力されますが、ここでは光デジタルを使うこととします。音声分離機能はHDMIセレクターにも搭載されていることがあります。

USB接続の場合

USB-DACを搭載しているプリメインアンプも最近は発売されています。この場合、PCとプリメインアンプをUSBケーブルで繋ぐだけとなります。しかし、USBポートが1つのため、複数機器の接続は基本的にできません。USBスイッチャーを使用することによって複数の機器を接続する方法もありますが、USBスイッチャーが高品質でないと音質が劣化する場合があります。

HDMI接続の場合

HDMI入力に対応したプリメインアンプは少ないですが、接続が簡単で音質的にも優れています。

HDMI入出力のあるプリメインアンプを使う:PCのHDMI出力をプリメインアンプに接続し、プリメインアンプのHDMI出力をモニターに繋げます。これで音声はプリメインアンプに入力され、映像はモニターに出力されることになります。複数のHDMI入力がある場合は複数のPCやゲーム機を接続することができます。

ARC/eARC端子のあるモニターとプリメインアンプを使う:これはモニター(テレビ)とプリメインアンプ両方にARC/eARC端子が必要になります。ARC/eARCはディスプレイの音声をアンプやサウンドバーなどに送信するための機能を持ちます。PCのHDMI出力をモニターにつなぎ、モニターとプリメインアンプのARC/eARC端子を接続します。ステレオ2chの場合、ARCもeARCもサンプリング周波数192kHz、量子化ビット数24bitまで対応します。ただし、ARCの場合は帯域幅の制約から、高サンプリングレートの音源をダウンサンプリングして伝送する場合があります。また、eARCの場合、高音質に対応するためにHDMI2.1以降の対応ケーブルが必要になります。これはPC〜ディスプレイ間およびディスプレイ〜アンプ間、両方です。
また、ディスプレイでARC/eARC端子を音声出力に設定し、プリメインアンプでARC/eARC端子を音声入力ソースとして選択します。
これによりプリメインアンプにPCの音声が出力されることになります。

おすすめの組み合わせ

以下に掲載しているスピーカーにはスピーカーケーブルは付属しません。別途、ご用意ください。スピーカーケーブルは末端にバナナプラグがあらかじめ付けられているものをおすすめします。また、ケーブルの左右の長さは同じにしましょう。

予算:10万円程度

プリメインアンプ:YAMAHA A-S301
実売価格:34,020円

スピーカー:YAMAHA NS-B330
実売価格:35,913円

USB-DAC:TOPPING D10s
実売価格:11,000円

USB-DACを使用する組み合わせとなります。PCとUSB-DACをUSBケーブルで接続し、USB-DACとプリメインアンプをアナログケーブルで接続します。A-S301よりD10sのD/Aコンバーターのほうが高性能であるため、このような接続方法になります。

予算:20万円程度

プリメインアンプ:TEAC AI-303
実売価格:69,980円

スピーカー:Bowers & Willkins 607 S3
実勢価格:103,635円

AI-303はUSB-DACを搭載しているため、PCとはUSBで接続するだけと非常にシンプルです。

予算:30万円程度

プリメインアンプ:Marantz STEREO 70s
実売価格:106,443円

スピーカー:KEF LS50 Meta
実売価格:162,685円

PCのHDMI出力をプリメインアンプのHDMI入力に接続し、プリメインアンプのHDMI出力とディスプレイを接続します。STEREO 70sはHDMIセレクターの機能も備えているため、複数の機器をHDMIで接続できます。

スピーカーやプリメインアンプをどうやって選ぶか?

スピーカーやプリメインアンプを選ぶ際、理想的には様々な機器で試聴するのが一番ですが、試聴環境が整った施設やショップは多くありません。また、店内が騒がしい場合や設置環境が自宅と異なる場合、参考にしづらいこともあります。

そこで、メディアやユーザーのレビューを参考にするのがおすすめです。例えば、専門誌やオーディオ機器に特化したウェブサイト、またはオーディオ愛好者が集まるオンラインフォーラムで意見を集めると良いでしょう。ただし、レビューは主観が入るため、複数の意見を比較して総合的に判断することが重要です。

さらに、自分の音の好みを理解しておくことも欠かせません。例えば、「録音された音を忠実に再現するモニターライクな音が好きなのか」、あるいは「音楽的な楽しさを強調したチューニングが好みなのか」を考えると選択の指針が明確になります。音の好みは個人差が大きく、主観に左右される部分が多いことを認識しておくとよいでしょう。

最終的に音楽をどのように楽しみたいかをイメージしながら、自分に合った機器を見つけましょう。

OSの設定をする

OSでデバイスに送る再生フォーマットを選択します。適切なフォーマットを選択してください。

適切なフォーマットとは?

再生する音楽の音質や再生デバイス(アンプやスピーカー)の性能によって異なります。CD音質のフォーマットでしか聴かないのであればサンプリング周波数44.1kHz、量子化ビット数16bitに設定するのが良いでしょう。様々なフォーマットを聴くのであれば一番多く聴くフォーマットを選択するのがベターです。OS自体にフォーマットのアップコンバート機能はないため、このフォーマットの選択をただ高音質にしただけでは音質がよくなることはありません。

Windows11での設定

Windows11の設定→サウンド→サウンドの詳細設定を開きます。

ここから音声を出力するデバイスを選択し、プロパティを開きます。

デバイスのプロパティから既定の形式で適切な音質を選択します。

排他モードについて

排他モードは音声を出力するアプリがデバイスを占有するモードです。音質のアップが見込めますが、他のアプリの音がでなくなります。アプリとデバイス、両方が排他モードに対応している必要があります。なお、上記の既定の形式は共有モードで有効であり、排他モードでは無視されます。

macOS Sequoiaでの設定

Launchpad→その他→Audio MIDI 設定を開きます。

左から音声を出力をするデバイスを選択し、適切な音質を選択します。

最後に

以上、PCで音楽を楽しむための知識を解説してみました。
これからPCに音楽環境を用意する方はまずPC用アクティブスピーカーを用意するのがいいでしょう。
この記事によって皆さんのPCライフが少しでも快適になれば幸いです。

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