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2025年の振り返りと2026年の抱負

私の業務は大きく分けて、経営・管理職として行う会社の様々な業務と、ソフトウェアエンジニアとして開発を行うという2つがありますが、本記事ではソフトウェアエンジニアとしての2025年の振り返りと2026年の豊富について書きます。

2025年にやった事

WP RAG の開発とリリース

WP RAG は WordPress のサイト上で RAG を用いたチャットボットを簡単に構築出来る WordPress プラグインです。後述の RAG Chat for Amazon Bedrock との違いですが、前者は、当社管理の AWS 上にあるバックエンドを用いるため、技術的な知識はほとんど必要ないのに対し、後者は利用者自身で Amazon Bedrock 上にリソースを作成する必要があるため、一定の AWS の知識が必要となる、という違いがあります。

WP RAG 自体は昨年の秋から冬にかけて原型は出来ていて、以下のような技術ブログも書きました。

また、2024年12月時点で、基本機能は動作する 0.1.0 をリリースしていたようです。

Releases · mobalab/wp-rag

その後ちょっと放置していたのですが、今年の夏くらいから開発を再開して、9月には Product Hunt に投稿してみました。

WP RAG: Enhance your wordpress site with AI-Powered RAG Capabilities | Product Hunt

また、生成 AI の力を借りて、ウェブサイトもパパッと作りました。

WP RAG – Build RAG Systems with WordPress Content

以前にも何度かやった事はあるのですが、ソフトウェアをリリースするというのは、開発以外にもやらなければいけないことが色々あるなと改めて思いました。ただ、そうした作業の大半は、生成 AI により必要な労力が大幅に削減されました。

インストール数とかの計測はまだしていないのですが、月に5〜10件くらい問い合わせがあり、その数も少しずつ増えているので、今後伸ばしていければと思います。

RAG Chat for Amazon Bedrock の開発とリリース

WP RAG の派生版で、開発自体は2週間くらいだったと思います。

WP RAG のインストールは、上述の通り GitHub からファイルをダウンロードしてもらう形式でしたが、RAG Chat for Amazon Bedrock では新たな試みとして WordPress プラグインディレクトリへの掲載を申請してみました。

プラグインチームのレビューにより何度か修正依頼が入りましたが、無事プラグインディレクトリに登録されました。

RAG Chat for Amazon Bedrock – WordPress plugin | WordPress.org

インストール数は2025/12/29時点で「10+」(10以上100未満?)と少ないのですが、実際に使用している方からのお問い合わせ・フィードバックなどもいくつか頂いており、感触としては悪くないかなと思います。

新規サービスの開発

こちらは年内にβ版を出したかったのですが、ちょっと間に合いませんでした。詳細は来年β版(あるいはα版)をリリースした際に書こうと思いますが、MCP を使った業務自動化を簡単に行えるようにするものです。

1から開発したのではなく、既存の OSS をフォークして開発を進めています。コードベースは結構大きいのですが、これも生成 AI の力により、ソースの読み解き・改修が以前より簡単にできるようになっています。

Moba Pro

2025年を振り返って感想等

人に任せる vs. 自分でやる

マネージメントに関する定番の議論として、どこまでの業務を人に任せてどこまでを自分でやるのか、というものがあります。また、小さな会社ではマネージメント専任の管理者はあまりおらずプレイングマネージャーの形を取る場合も多いです。一般論としては、マネージャーがタスクを抱えすぎるのは良くないので、極力他人に委譲するのが望ましいという結論になるかと思います。

ただ、これは去年(2024年)から思っていたことではありますが、仕様等が明確に決まっていないソフトウェア、特にプロトタイプだったり初期段階のバージョンでは、人に任せて開発をすると速度が大幅に低下してしまうので、まずは自分でやる事にしました。上に挙げた3つのソフトウェアは(多少の違いはありますが)いずれもそのような形です。

生成 AI すごい

これに関しては至る所で情報があるので詳しく触れませんが、生成 AI がソフトウェア開発のあり方を大きく変えたのは誰も否定できない事実でしょう。

前項で書いたとおり、新規サービス等はまずは自分自身で形になるまで進めるという方針をとるようにしていますが、それを可能にしたのが生成 AI です。自分一人では知らない・不得意な技術も沢山あり、今までであれば公式ドキュメントなどを見ながらそうした技術の勉強を行いつつゆっくり開発を進めるか、そうした技術が得意な他人に任せるという選択肢だったと思いますが、今では生成 AI を使って、不得意な技術でも得意な技術の6〜8割くらいの速度で開発を進められるようになりました。

また、ウェブサイト、画像、資料なども、生成 AI でそこそこの質のものが短期間で作成出来ます。もちろん、本格的に製品展開していくにあたっては、質として若干見劣りもしますが、プロトタイプやβ版時点では十分だと思います。

大昔にあったプログラマー35才定年説と、その再考

若い方はご存じないかと思いますが、2000年代には「プログラマー35才定年説(限界説)」といった言説がまことしやかに語られていました。どんな論なのかはここでは触れませんので、興味のある方は検索してください。

さて、私自身は35才はおろか、その2世代くらい上なのですが、今でも普通にプログラム・ソフトウェア開発をしていますし、私が知っている優秀な開発者は、若い方もいますが40代の方も多くいます。

私の個人的な体験はさておき、35才定年説は随分前から否定されていますが、その「定年」が生成 AI の登場(だけではありませんが)によって延びているのではないかと感じています。

5年くらい前であれば、新しい技術を学ぶのにはそれなりに時間がかかっていましたが、現在は生成 AI に分からないところを質問しまくる事で、とりあえず使えるレベルに到達するのは以前より圧倒的に時間が短くて済みます。また、分かりやすい YouTube 動画だったりウェブサイトの記事も大分増えています。それによってプログラマー・ソフトウェア開発者の定年・寿命は大幅に延びたと思います。

私自身、5年前くらいにはソフトウェア開発はそろそろ卒業しようと思っていましたが、今となってはもう5〜10年くらいは出来そうだと感じていますし、やる予定です。(比べるのはおこがましい思いもありますが、)PostgreSQL の石井達夫さんみたいに60過ぎても現役の人もいますし、少し年下ではありますが Ruby on Rails の DHH も現役でプログラムを書いているようです。

2026年にやりたい事

WP RAG と RAG Chat for Amazon Bedrock の改善

正直なところ、技術的に面白い部分は大体実装が終わっているのですが、実際に使ってくださっている方からの要望も色々頂いていますので、要望の多いものから順次検討し、必要なものは実装していこうと思います。

パッケージソフトだろうと受託開発だろうと、ソフトウェアはリリースしてからが本番だと思います。質を高めて、より多くの利用者に使っていただけるようにしたいと考えています。

新規サービスのリリース

MCP という旬なネタでもあるので、年明けの1月中にデモ可能なα版をリリースし、春までにはβ版をリリースしたいと思っています。

フロントエンドを完全に理解する

私自身はバックエンド、インフラ関連の技術は一通り触って理解もしているのですが、フロントエンドの知識は限定的です。

上述の通り「新規サービス」は OSS をフォークしたものですが、Next.js を使っています。この開発を期に Next.js, React をしっかり理解して、フロントエンドについても「完全に理解した」、と言えるようにしたいと考えています。

最後に

2025年はどうしても生成 AI を抜きに語るのは難しいですし、実際私の開発にも(良い)大きな影響を及ぼしました。生成 AI の力を上手に使ってソフトウェアを2つリリースできましたし、もう1つも年明け早々にはα版をリリースしたいと思ってます。また、生成 AI によってソフトウェア開発者の寿命も延びたと思いますし、私自身もしばらくは開発を続けたいと思っています。

2026年はソフトウェアのリリース・改善をしつつ、自分のとっての新しい技術としてフロントエンドの習得をしようと思っています。

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